【画集画の未来像】


画集画の自立式でご説明するように、光は和紙を透過する際に画面上に影を造りそこにあたかも

自然空間の様な奥行きを表現します。


このとき和紙を透過する光は「自然光」或いは「自然光に近い色彩バランスを持つ人工光」であること

が求められます。


なぜなら、自然光に展開する色彩はどの色同士も互いを阻害することが無く、どの色彩も伸び伸びと自

分を表現するからであり、一方の人工光はその光源により、例えば青が黄色を阻害し黄色が全く苦し

い状態であったり、逆に黄色が青を阻害して互いが互いを苦しい状態にしていたり・・と、

日常に使用している照明の場合(絵を鑑賞する環境を含む)、殆どはそれぞれの色が阻害し合いおの

おのの色が独立・自立出来ない状態になってしまっている事が多いようです。


大方の場合、色彩はこのように光源の影響を受けた状態で見る人に届けられます。

すると、画家の(作者の)表現する絵は、色は、見る環境によって違う色、或いは違う絵になってしまっ

ていると云うことになります。


作者が絵を描く全く同じ情況下で、鑑賞者が絵を(色を)見ることは殆ど不可能であり、光源が人工光

であれば、その人工光は作者の描く際の照明とは違うことが考えられますし、自然光であれば一日の

時間の中の色の変化や、天気による色の変化の差が生じてしまいます。


・・と、この様に考えてみると、画家の(作者の)本当に表現したい色を再現すること自体に矛盾がある

のであり、この矛盾を了解した上で表現を考えないと行き詰まってしまうことになります。


つまり、画家の意識は光源の影響を乗り越える必要があり、その事に依って表現は光源の影響を受け

ない力を得ることが可能になると考えます。


ところが、光源を乗り越える画家の努力も、印刷やモニター上に映すと、表現は画家の意識を切り離さ

れた状態となり、光源の影響下に晒されることになります。


ここで、表現と複写の明らかな違いが生じてしまいます。


ご存じのように、表現は画家の或いは作者の意識の現実性(リアリティー)を見る人に届けて初めて表

現と成るのであり、複写物は画家の意識を離れ、光源の影響下に表現のその内容は変化されてしまい

ます。


そのため、この複写物を捉える光源が大変重要な問題となる訳です。



ここで、ある展覧会での出来事をご紹介します。


その展覧会の会場が古い日本家屋であったため、絵を展示できる壁が京壁や漆喰であったため展示

はそれらを・汚さない・壊さない方法で行わねばならず、一部の作品は裸にして障子の前に吊して展示

する事にしました。


実際にはそれは和紙に印刷した「画集画」やカレンダーでありましたがしかしー、その障子越しの自然

光が和紙を透過した絵はまるで生き物のように活き活きとして見えました。


その後、和紙に描いた原画作品に様々な情況の透過光を通してみて、室内の明かりと外光との丁度中

間辺りに絵を置いたときに、透過光の最も良い影響が画面上に現れることが解りました。


それはまるで、違う次元の絵の現れた瞬間でした。


絵という基底素材(紙やキャンバスや或いはモニター)と色彩(絵の具やデジタルの光データ)による素

材構成に、新たに自然光という素材が加味された新しい絵画(ステンドグラス様式の効果)が現れたの

でした。


*同様の効果にガラス絵や影絵と云ったものもありますが、ここで説明させて戴く透過光は「画集画」

のその元となる「虹彩法」の複雑な色の重なりを最も善く現してくれる鑑賞方法として紹介させて戴いて

おります。


そして、その効果は印刷された「画集画」においても同様でありましたが、しかしその効果は絵によって

まちまちであることも解って参りました。


この自然光は、上述のようにおのおのの色の関係を阻害すること無くありのままの姿を映し出してくれ

ます。


それは一日の光の変化に合わせたバランスとなり、人間の感覚に心地よい新鮮な体験であると感じま

した。


それは「人間の造りだす色彩(画材を含む)は、自然光の中で活かされて行くのだ!・・」と、感じられる

体験でした。


しかし、自然光の中には紫外線という画材の造りだす色彩を破壊する力も存在します。


もし、原画を自然光の中に晒し続けたら・・これは恐ろしい結果が待ち受けることは想像するに難くあり

ません。


このとき、自然光に晒してもよい絵として「画集画」を位置づけられるのではないかと考えました。「その

ことで、色彩の秘密が垣間見られるのであれば」と・・・。


将来、技術の進歩によって、色彩破壊を起こすことなく画家の描き望む最も美しい色を、色彩本来の姿

を現すことの出来る自然光と同等の人工光の下で鑑賞できる日の訪れることを思い願い、「画集画」は

その促進材として役立ちたく願っています。



注) 「画集画」はメーカー純正の顔料インクを使用するため褪色性能には優れていますが、それでも直
射光の下では数ヶ月で変色致します。

飽くまでも、直射を避けた自然光を透過光として鑑賞戴く作品としてお楽しみ戴ければと願っています。


                                                          瀬ア正人

 
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